ご挨拶

全国児童心理治療施設協議会会長
大阪市立児童院施設長
野坂 猛夫

 全国児童心理治療施設協議会はその前身の全国情緒障害児短期治療施設協議会が昭和50年4月21日に設立され50周年を迎えました。
 児童心理治療施設は、第二次世界大戦後、その社会的混乱に伴う青少年の行動的な逸脱や情動的な混乱に対して早期に対応すべく、昭和36年(1961)年に、「情緒障害児短期治療施設」として、児童福祉法上に定められました、そして、翌年の昭和37(1962)年に、最初の施設が岡山県に誕生しました。以来、その時代の社会的なニーズに応え、心理的な行きづまり状態にある子どもやその家族への支援を行うために、その数が増えてきました。令和7(2025)年現在、全国で54を数えています。施設種別の名称も、平成28(2016)年に、現在の「児童心理治療施設」に変わりました。
 現在、私たちが心理治療・支援を進めている子ども達は、「学校課題、家庭課題、発達課題」の3つの課題を、それぞれ抱えています。
 そうした子どもを支援するにあたって、私たちは「総合環境療法」を、その基本的な理念としています。トータルなアセスメントに基づき、それぞれの子どもの周囲にある環境や関係を心理面、生活面、教育面から再構成し、修正、成長、再育成を図ろうとしています。「治療的」な支援にこそ、私たちの施設の「固有性」があり、児童福祉の領域に、「医療的(治療的)」な理念と方法論を導入している施設です。
 これまでに培ったノウハウや知見、そして子ども同士の、あるいは子どもとスタッフ間の、さらにはスタッフ同士の、温かい関係性を基軸に、「心のゆきづまり状態」にある子どもやそのご家族ために心理治療・支援を進めています。
 子どもが限りない力を発揮出来るように、「いつも心に太陽を、いつもくちびるに歌を」(ツェーザル・フライシュレンの詩、山本有三約より)持てるように。ご家族や子どもの周りの方の笑顔が増えるように。
 なんらかの「心の困り事」を抱えておられる皆様には、是非、近くの私たちの施設にお問い合わせいただければと思います。

令和7(2025)年9月